2001-4
今ではスッカリ、オバサン化している私にも、お年頃の女の子時代はあった。
それはそれは、すっごい、泣く子も黙るくらいのバリバリ反抗していた中学生だった。
横道ギリギリそれずに、リッパな(リッチにはなれず・・・・)大人の女になった今、同じようにバリバリ・ガンガン反抗期バク進中の娘に、当時の自分を見ているような、フクザツな心境のコンニチです。
中学2年の長女。下には年子の妹、上は二人の兄。上と下に挟まれた“だんご”の中途半端な3番目。微妙なポジションである。
学校や外の世界でテンぱっている分、家や親には最悪な態度。かと思うと、これでもか〜ってくらいに甘えて、おメメの中にお星さま白ヌキのキラキラモード。ただ、これは要求が100%満たされた時だけの限定モノ。世の中思い通りにならないことの方が多いんだから、当然キラキラモードは発生率的には確実に低い。トコロが、この年齢、何とも低い発生率が気に入らない。
自分の思い通りにならないのは「外の世界」では100歩譲っても、「ウチの世界」では譲れない。タイシタコトでもないのに、ガンとして譲れないのである。
今日の我が家の一戦も、たあいのないTVチャンネル争奪戦だった・・・・・・・ところが、これに“泣き”入ると事態は一変する。
ひとつ違いの妹とジャレあってリモコンの取り合いをしていた夜10時。ひとしきりゴールデンを堪能した後に事件はやってきた。
リモコンを奪われた中一娘は、まだまだ口でもカラダでも中二娘にはかなわない。たったひとつ違いではあるけれど、先月まで小学生だった末娘と、1年間中学校の荒波にモマレ、口もカラダも成長著しい長女との実力の差は歴然としていた。
どこの兄弟・姉妹でも、分の悪いほうがいち早く、親許にやって来て“助け”を求める。たぶん、弟や妹の方だろう。
大粒の涙を流して、お腹を押さえシャクリあげながら
「おねいちゃんが・・・・・・おねいちゃんが、やった」
「背中を蹴飛ばされて、お腹の方まで痛い」と中一娘。
ついつい小さい子の方をかばうことが多くなる兄弟ケンカ。普段なら「そうかそうか、可愛そうに。痛かったねえ〜」と半分赤ちゃんコトバでナデナデしてしまうところだけど、夕食後のTVタイムで、すでにこの一戦の火種は確認済みだったワタクシ・母は「ハハ〜ン」と事態の全容をつかんでいた。
中二娘を呼んで、一戦交えたコトの全てをそれぞれから聞いた。子供だって、自分に都合の悪いことは決して言わない。(オトナの私なんかは、とぼけちゃってシランカオすることが、ここのところヤケに多いが)
二人から“それぞれの現実”を聞いた後、ワタクシ・母は低い声で言ったのです。(ココは思いきり低い声で、腹式呼吸のドスの効いた声、地の底からしぼり出すような声が、非常に効果的デス。上二人の男の子は完全にビビっていました、コレで。)
「このところ、ケンカの原因はTVだよね」
(ボソッとはきだすように)
「お母さんはずっとイヤ〜なカンジだったんだけど、言わなかったのはさ〜、お母さんがそのことで言うとしたら、TVの制限を付けることしか思い付かないからよ・・・・・」
(ちょっと悲しそうに。ここは必ず効いているハズ)
「TVだけじゃなくて、ゲームやメールだって同じ!!自分で判断してこのくらいって言う加減を知って欲しいんだよね。何でも程度問題でしょッ」
(「・・・・だよね」のトコロは困ったように、でもキッパリと)
私は子供のケンカの仲裁はすっごく苦手デス。裁判官になって白・黒ハッキリさせて「あやまり」を入れて解決するのは、無理があるし、双方が納得しないことが多いから。ナンダカンダとあまり道理を言わず、「非常に不快な気分だ」と言う事を伝えるようにしています。時間もせいぜい10分程度かな。子供は長い説教など全く聞いていないし、効かない。
この時も一旦は切り上げた。二人に終結の「もう、いいよ」を言い渡した・・・・・・が、この後の中二娘のぶっきらぼうな態度に、冷静でココロ広いオトナの女は、ブッキレタ。
階下に降りてコタツにもぐった中二娘の前で、仁王立ちのワタクシ・母。
「あんたね、いい加減にしてよね。思い通りにならなかったり、イヤな事言われるたびに、これだよ!!」
(ヤバイ。マジ切れてしまった、ワタクシ)
「アンタのこた〜、それなりに仕方ないな〜と、思っていたけど、ここ最近のアンタの態度には、腹が立っていたのよ」
(このあと、シャキシャキの江戸っ子弁でまくし立て、延長15分)
結構興奮していたワタクシ・母は、今では何を言ったかは、もう覚えていない。想いはすぐに表現して、後はサッパリと忘れてしまうタチなので、カンペキ忘れている。
ただひとつ、ハッキリと覚えているのは、最終ゴングの響きと絶妙?なタイミング。
ゴングの音は衝撃的だった。それは♪チ〜ンでも♪カ〜ンでもなく、実に妙な音だった。
しかし、まさに人間味あふれる生理的な音でもあった。
♪ブウ〜
・・・・・・・・・・クイズの不正解の音ではない。
おなら、オナラ・・・・・・ガス、天然ガスだ。
発生音源は、うしろに居た。
風呂から上がり立ての裸の亭主が、ソコに居た。
ビールを取りだそうと冷蔵庫を開けた弾みに、暖まったカラダの後方下半身筋肉が緩んでしまったらしい。
「この状態で、するかね〜?」
ヘラヘラ顔の亭主を見て、ワタクシ・母の興奮は一気にサメタ。
そして中二娘は、オヤジの屁に救われたというオチでした。