ケビン・コスナーといえば「フィールド・オブ・ドリームス」でしょうか。野球ファンにはたまらないストーリーですが、そうでなくても見どころはたくさんあります。ミステリー仕立てにした構成で、なぞ解きのために旅に出る、というのは松本清張の小説を読んでいるときのように、静かに興奮してきます。人に会い、何かのヒントをつかんでは二人でディスカッションして、おもわず「わかった!」と叫び、また次の場所に引き寄せられていく。自分がどんどん確信に近づいていく緊張感と、あいまいだったものがすべて関係しているとわかったときの心地よさは格別です。
もう一つ好きなのは、奥さんが町の集会で思わずマイクをつかんで興奮してしまうシーン。ベトナム戦争当時、多くの若者が平和運動に参加して、ひとつのムーブメントが起きました。丁度その時代を生きてきたんだな、と思わせる内容をコミカルに描いていました。こういうところは大いに共感してしまいます。これだけでも、彼らが何でそこに住んで、トウモロコシ畑を耕しているのかなど、見えないところのストーリーが見えてくるから不思議です。
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」も好きな映画です。ただストーリーより何より、その映像が素晴しく感動させました。特にネイティブ・アメリカンの集落が映し出されたとき、何とも言えない不思議な気持ちに包まれました。ひとことで言えば「調和」ということなのかもしれませんが、完璧に満たされている景色がそこにありました。