スティーブ・マックィーンはかつて少年たちのヒーローでした。寡黙で、ネヴァーギブアップの精神を持ち、敏捷で、野性的。それでいて大人くさくなく、兄貴のような存在でした。
　そんな彼の魅力を十分に見せてくれたのが『大脱走』でした。この映画はそうそうたるメンバーが出演しています。ジェームス・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームス・コバーン、チャールズ・ブロンソン。しかしこの中でもやはりスティーブ・マックィーンがヒーローです。
　独房で野球のボールをぶつけて遊ぶシーン。オートバイでジャンプして鉄条網を越えるシーンなど、わくわくしながら観ていたのを思い出します。1963年の作品ですから、マイ・フェア・レディーとほぼ同じ時代です。
　1966年の作品『砲艦サンパブロ』は印象深い映画でした。暗い教会での結婚式はとても切ないシーンです。戦争の怖さ、残酷さをリアルに感じた最初の映画だったような気がします。
　その後観た戦争映画は、『ディア・ハンター』『プラトーン』『７月4日に生まれて』・・どれも見終わった後すぐには席を立てない作品ばかりでした。この3つの作品の戦場はベトナムです。『砲艦サンパブロ』の舞台となったのは1926年の上海。やはり時代を感じさせます。